札幌ニューテクノロジー研究会 11月
       「背臥位二重造影圧迫法」 
                             社会保険北海道健康管理センター 高橋伸之
2002年7月、大阪消化管撮影技術研究会会長の本田幹雄先生に、特別講演ということで、遠く北海道まで来ていただきました。その時お話の中で背臥位二重造影圧迫法の有効性について、紹介していただきました。それ以来、この方法を検査に取り入れており、区域描出不良を補うテクニックとして使用しております。今回当施設では、どのように検査に取り入れているかということで、紹介させていただきました。

背臥位二重造影圧迫法を取り入れているのは、主に直接撮影です。Fig. 1~4に示している写真は、左側が通常の二重造影で、右側がそれに圧迫を加えたものです。

利点1 背臥位第一斜位像では、十二指腸球部と幽門前部が重なり、幽門付近が描出不良となる例が少なくないと思われますが、軽く圧迫を加えることで、重なったところを分離して撮影することができます。
Fig. 1 
利点2 横胃に見られる事例として、胃角部を中心とした部位が縦に伸びないため、小彎側の描出が思うようにいかないということがあると思います。この場合、お腹を大きく膨らませていただいてから、上部のほうから、軽く下方へ圧迫を加える事で、縦に伸展した像が得られることが多いです。
Fig. 2 
利点3 当施設では、鎮痙剤を使用しておりません。そのため、蠕動運動が活発になっている状態のときも多く見られます。その場合、軽く圧迫を加えることで、その部位の蠕動を抑え目にすることができます。
Fig. 3 
利点4 利点4.極端な差はないのですが、圧迫を加えることで、腹圧が薄くなり、その分、撮影条件が改善されていると思われます。そのため、画質の向上が見られる場合があります。
Fig. 4 

以上のことにつきましては、かなり以前より常識と思われている方もいらっしゃることと思いますが、この特別講演を通じて知識を吸収し、日常の検査で取り入れたことにより、改善が見られたと考えていることを報告し、本田先生に謝意を表したいと思います。