第43回 日本消化器集団検診学会総会 部会研究会シンポジウム 演者報告
      「技師による1次チェックの現状」 
                      社会保険北海道健康管理センター 杉沢 猛

【はじめに】
技師による1次チェック、1次読影について、ディスカッションのおこなわれる機会が増えてきた。当施設でも透視撮影と平行して、レポートを記入し、読影医に提出している。ここに当施設の現状を報告するとともに、技師による1次チェック、1次読影に対する考察を述べる。

【平成14年度検査実施数】
 胃バリウム検査実施数   
            42,499名
施設健診実施数 18,378名
(すべて直接撮影)
車健診実施数 24,121名
(うち直接撮影は85%)
※ 対象は約90%が職域健診である
【読影について】
施設健診では、撮影を担当した技師全員が読影に立会い、報告をおこなう。
健診車分の読影では、技師1名が立会い、所見レポートを読み上げる。追加撮影とあわせて提示し、透視観察中の所見として報告する。

【平成14年度成績】
[要精検率 4,6%] [精検受診率 45%] [がん発見率 0,96%] [早期がん割合 64%]

【症例とレポート】
レポートは透視撮影中に記入するので、非常に簡単なものになっている。写真はすべて、左がルーチン撮影、右が追加撮影である。

入口部直下に浅い陥凹性病変あり
Ⅱ―C疑い
胃角部後壁中央に陥凹性病変あり
Ⅱ―C疑い
体部前壁、やや小彎よりに隆起性病変
前庭部後壁、中央に陥凹性病変
Ⅱ-C疑い

【まとめ】
健診における技師の1次チェック、1次読影の目的を精度の向上に置くならば、透視観察力を高め、アピール力のある追加撮影をおこなうことで、十分その目的を果たせると考えている。
また、読影には撮影者の印象が反映されるべきだと思っているが、それも透視観察レポートと、追加撮影で可能だと考えている。
私たち撮影を担う放射線技師は「透視観察で見逃された病変は、読影でも見逃される」という強い信念を持ち、病変の発見に努め、精度向上に貢献すべきである。
撮影したフィルムを見直し、読影結果をフィードバックすることで、読影力の向上を図るということが目的であるならば、それを否定するものではないが、本来の意味での「読影」が目的であるのなら、現時点では疑問である。
当然この意見に対しては、異論をお持ちの方もおられることと思う。放射線技師による1次チェック、1次読影とは何か、どうあるべきかなどは、さらに今後の議論にゆだねることとしたい。
ただ、現段階では、何をもって1次チェック、1次読影とするのか、用語の統一がなされていない。当施設で実施しているような、透視観察中の所見レポートのようなものもあれば、自分で撮影したフィルムだけを読影するというスタイルや、撮影者にかかわらず1次チェック、1次読影をするという施設もある。
今後議論を進めていくうえで、用語と認識の統一が、早急に必要だと考えている。